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社内勉強会|塗装素材の種類と特性

『塗装素材の種類と特性について』

    1)金属素材の種類と特性について
    2)亜鉛めっき鋼板の種類
    3)金属焼付塗装で発とくせ泡、剥離しやすい素材
    4)亜鉛めっきに対する塗膜剥離メカニズム
    5)各種素材に対する合成樹脂塗料の付着性
    6)各種素材の耐食性と表面処理 

  1)金属素材の種類と特性
 
素材 記号 特長 用途 内容
冷間圧延鋼板 SPCC 一般用 一般金属製品、家電製品 鉄鋼版を製造する際に、冷間で圧延しながら薄板に作られた鉄板。
(JIS G3141) 自動車ドア等の平板用 ・ダル鋼板(SPCC-D):表面に細かい凹凸がある梨地鋼板。
SPCD 絞り用 自動車ルーフ、ボンネット ・ブライト鋼板(SPCC-B):滑らかなロールで圧延し、表面を平滑に仕上げたミガキ鋼板。
SPCE 深絞り用 自動車フロントパネル ・SPCC:1種(一般用) ・SPCD:2種(絞り用) ・SPCE:3種(深絞り用)
・板厚:0.25~5.5mm
・金属製品の場合、一般的にはダル鋼板(SPCC-D)を使用するのが多い。
・保管時の防錆対策で防錆油が塗られている。塗装前に脱脂、化成皮膜処理が必要である。
熱間圧延鋼板 SPHC 一般用 車両部品、配電盤外板 鉄鋼版を製造する際に、熱間で圧延しながら薄板に作られた鉄板で、表面に黒皮(ミル
(JIS G3131) SPHD 絞り用 ホイール、スイッチボックス スケール)が形成される。
SPHE 深絞り用 自動車バンパー、モーターケース ・塗装前には黒皮を酸洗又はブラストで除去する必要がある。
・SPHC:1種(一般用) ・SPHD:2種(絞り用) ・SPHE:3種(深絞り用)
・板厚:0.25~5.5mm
・金属製品の場合、一般的にはSPHCを使用するのが多い。塗装前には脱脂、化成皮膜処理
が必要である。
一般構造用 SS 黒皮鋼板 建材、構造物 SS400が最も一般的。おもに、製缶、建築、産業機械等に使われる。曲げや絞りよりも溶接の部材として使われる場合が多い。
 圧延鋼板
鋳鉄 FC 鋳物 機械部品、エンジン部品 金属を溶解し、鋳型に流し込んで所定の形に仕上げたもの。
電気亜鉛めっき EG又は 加工性、溶接性 自動車用鋼板、電気機器、家電製品 電気亜鉛めっき鋼板:鋼板に亜鉛を電気めっきした鋼板。
SECC 代表名:ジンコート、ボンデ鋼板
合金化溶融 GA又は 溶接性、耐食性 自動車部品、建材、電気機器 溶融亜鉛メッキ鋼板は、非常に優れた耐食性を持つが特性上塗装性については、塗膜下ブリスター(微小なふくれ)発生が起き易く塗装ハクリの原因となり易い。又溶接性についても低下するケースがある。これらの欠陥を補うために、溶融亜鉛メッキ後、加熱によりメッキ層をZn-Feの合金にしたのが合金化溶融亜鉛メッキ鋼板(一般に“アロイ”)である。合金化した亜鉛メッキ層の表面は、Zn-Fe合金特有のダークグレー色で、純亜鉛に比べると硬度は硬い。表層は、極めて平滑だが、ミクロ的に微細な凸凹があり、この為塗料の密着性が良い。又、メッキ層に鉄を含む為、長い間外気にさらされると鉄分が酸化して赤錆が発生する為、通常は、防錆油を施す場合が多い。
 亜鉛めっき SGCC 代表名:シルバーアロイ、ペンタイト
溶融亜鉛めっき JIS G3302 犠牲防食性 建材、構造物 鉄構造物を溶融亜鉛槽に浸漬しめっき処理する方法。
HDZ 塗膜付着性は非合金溶融亜鉛めっき鋼板より劣る。
防食性良好。
溶融亜鉛アルミ Zn-5%Al 高耐食性 建材 代表名:ガルファン
 めっき 55%Al-Zn 超耐食性 建材 代表名:ガルバリウム
溶融亜鉛アルミ Zn-6%Al- 超耐食性 建材 代表名:ZAM
 マグネめっき 3%Mg
展伸用非熱処理 1000系 伝導性、加工性 純アルミニウム、導電材料、熱交換装置 代表的なものは1050(純度99.5%以上)。微量のFeとSiを特性に応じて調整したアルミニウムで、加工性、耐食性、溶接性、電気や熱の伝導性などにすぐれている。ただし、強度が低いため反射性、耐食性、導電性などの特性を活用した反射板、装飾品、各種容器、送配電材、放熱材などに使用されている。
 合金アルミ
5000系 耐食性、溶接性 Al-Mg系 精密機器、ホイール マグネシウム含有量の少ないもの(Mg0.5~1.1%)は装飾材や喜物材(2.2~5%)は缶蓋材や各種の構造材として多用されている。これらの合金は海水や工業地帯の環境に強いため、装飾性を除いた実用面からは、ふつう表面処理を施す必要はない。
展伸用熱処理 6000系 加工性、押出性 Al-Mg-Si系 自動車部品、サッシ 代表的なものは6061、6063合金(Mg0.45~0.9%、Si0.2~0.6%)。6061合金は銅を微量添加して強度を高くしたもので、各種の構造材に用いられている。6063合金はMg、Siの量が6061合金より強度は小さいが押出加工性にすぐれており、押出形材として建築用サッシなどに多量に使用されている。
 合金アルミ
鋳造用非熱処理 AC4C 加工性、耐食性 Al-Mg-Si系 自動車部品、サッシ Al‐Si系に少量のマグネシウムを添加して熱処理により強さを得るようにしたもの。Γシルミンと呼ばれる。
 合金アルミ
鋳造用熱処理 ADC-12 加工性、強度 Al-Mg-Cu系 自動車部品、ホイール Cuと微量のMgにより熱処理硬化する合金。Siが多く、鋳造性にすぐれている。
 合金アルミ
ステンレス SUS430 汎用鋼種 Cr系 建築内装、家電部品 ステンレス鋼とは鉄に少なくも10.5%以上のクロムを含有した合金鋼の総称。鉄の最大の弱点である「さび」を防止するように改良されており、耐食性・耐久性・意匠性・耐火性・低温特性・加工性などで非常にすぐれた特性を備えています。またメンテナンスが容易である。
SUS304 耐食性 Cr-Ni系 食品設備、化学設備
SUS316 高耐食性 Cr-Ni-Mo系 耐孔食材料
マグネシウム AZ-91D 加工性 Al/Zn=9/1 情報機器、電子部品 比重が小さい。約1.8(アルミニウムの2/3)比強度(単位重量当たりの強さ)が大きい。
 合金 AZ-31C 押出性 Al/Zn=3/1 形材、管・棒材 広い周波数帯に対して電磁波遮蔽効果がある。熱伝導度が良く、熱拡散性に優れる。
リサイクルが可能で環境に優しい。振動を吸収し、騒音を減少する。
塩イオン、酸、塩類に腐食され易い。異種金属との電位差による電食が起き易い。
マグネシウム粉は酸素と接触して酸化燃焼する。

 
2)亜鉛めっき鋼板の種類
鋼板名 めっき量 めっき後の処理 特徴
電気亜鉛めっき鋼板 E8~E32(片面表示) ・無処理塗油 ・塗装後の外観、付着性良好。耐食性劣る。
(JIS G3313) 10~40g/㎡(片面) ・クロメート処理 ・耐食性、加工性良好。
10~20g/㎡が最も多い ・リン酸亜鉛処理(ボンデ鋼板) ・脱脂のみで塗装可能。
・特殊・耐食クロメート処理 ・耐食性、加工性良好。塗膜の付着性劣る。
合金化亜鉛めっき鋼板 F04~F18(両面表示) ・無処理塗油 ・塗装後の外観、付着性良好。
30~120g/㎡(両面) ・クロメート処理 ・耐食性良好。塗膜の付着性劣る。
技術的に薄目付は困難 ・加工性は電気亜鉛めっき鋼板より劣る。
非合金溶融亜鉛めっき Z06~Z60(両面表示) ・無処理塗油 ・塗膜付着性は合金化処理鋼板より劣る。
 鋼板(プレメッキ) 60~600g/㎡(両面) ・クロメート処理 ・加工性は合金化処理鋼板より良好。
(JIS G3302) ・防食性良好。
溶融亜鉛めっき HDZ35~HDZ55(全面表示) ・無処理 ・塗膜付着性は非合金溶融亜鉛めっき鋼板
ホットディップ法 350以上~550g/㎡以上 より劣る
(JIS H8641) ・防食性良好。
<備考>
1.電気亜鉛めっき鋼板:鋼板に亜鉛を電気めっきした鋼板。
2.ボンデ鋼板:電気亜鉛めっき鋼板にリン酸塩処理を施した鋼板。
3.合金化亜鉛めっき鋼板:鋼板に亜鉛を溶融めっきした後、熱処理を施してめっき層を合金化した鋼板。
4.非合金溶融亜鉛めっき鋼板:鋼板を亜鉛溶融槽に浸漬し、めっき槽直後にガスワイピング法によりめっき付着量を調整する。
 大きな華模様(スパングル)はレギュラースパングル、小さいのはミニスパングル、ないものはゼロスパングルという。
5.溶融亜鉛めっき:鉄構造物を溶融亜鉛槽に浸漬しめっき処理する方法。

 
3).金属焼付塗装でも発砲・剥離し易い素材
素材 内容 塗膜欠陥現象 対策
鋳鉄 巣穴が多い。 内蔵している気体・水分が焼付温度の影響 ①空焼き後、焼付塗装
により膨張・揮発し塗膜が発砲する。 ②常乾又は強制乾燥仕様
 100℃以下
溶融亜鉛めっき めっき層に気体が内蔵している。 内蔵している気体・水分が焼付温度の影響 ①空焼き後、焼付塗装
(ホットディップ) により膨張・揮発し塗膜が発砲する。 ②常乾又は強制乾燥仕様
 100℃以下
めっき表面は活性である。 一般的に有機塗膜は接着強度が低く塗膜剥 ①専用の化成皮膜処理
離し易い。 ②下塗りにエポキシ系塗料
アルミ鋳物 巣穴が多い。 内蔵している気体・水分が焼付温度の影響 ①空焼き後、焼付塗装
により膨張・揮発し塗膜が発砲する。 ②常乾又は強制乾燥仕様
 100℃以下
アルミダイカスト 巣穴が多い。 内蔵している気体・水分が焼付温度の影響 ①空焼き後、焼付塗装
により膨張・揮発し塗膜が発砲する。 ②常乾又は強制乾燥仕様
 100℃以下
成形材内部に剥離剤が含有している。 内蔵している剥離剤が焼付温度の影響により ①専用の化成皮膜処理
素材表面ににじみ出てハジキの発生と塗膜 ②下塗りにエポキシ系塗料
剥離する。
マグネシウム合金 巣穴が多い。 内蔵している気体・水分が焼付温度の影響 ①空焼き後、焼付塗装
により膨張・揮発し塗膜が発砲する。 ②常乾又は強制乾燥仕様
 100℃以下
成形材内部に剥離剤が含有している。 内蔵している剥離剤が焼付温度の影響により ①専用の化成皮膜処理
素材表面ににじみ出てハジキの発生と塗膜 ②下塗りにエポキシ系塗料
剥離する。
 

 
4)亜鉛めっきに対する塗膜剥離メカニズム
亜鉛めっきに対する塗膜の付着力の低下、剥離は次の様な要因に基づくものと考えられている。
(1)塗膜を透過してくる水や酸素の影響で、亜鉛と塗膜の界面で水酸化亜鉛が生成され、その後脱水
され、酸化亜鉛になる。
(2)又、亜鉛は水に溶けている炭酸イオンと反応し、塩基性炭酸亜鉛となる。
これらの生成物は、吸収した水分により塗膜を次第に持ち上げ、水分がなくなるとめっき層に沈着する。
これらの生成物は、めっき層と強固に付着していない為、塗膜の付着力低下につながり、剥離へと続く。
(3)塗料中の脂肪酸や有機酸類が亜鉛と反応し、亜鉛石けん(金属石けん)が生成される。この亜鉛石
けんは、塗膜に比べ非常にもろく、吸水性があるので体積膨張し、塗膜付着力低下につながり、剥離へ
と続く。
(4)塗膜の歪みも付着力を低下させるものであり、内部応力の大きい塗膜も長期的に見れば、付着性は
よくない。
 
 
5)各種素材に対する合成樹脂塗料の付着性
樹脂系 素  材
SPCC、SPHC SS、FC SECC SGCC HDZ ガリファン アルミニウム SUS
ボンデ鋼板 ガルバリウム アルミ合金
ZAM
アルキド樹脂 × × × × ×
アミノアルキド樹脂
フェノール変性 × × × ×
アルキド樹脂
エポキシ変性アミノ × × × × ×
アルキド樹脂
エポキシエステル樹脂 ×
ニ液性エポキシ樹脂
一液性高分子
エポキシ樹脂
焼付型一液性
エポキシ樹脂
熱硬化型アクリル樹脂
 
 
6)各種素材の耐食性と表面処理
素材の種類 錆発生 表面処理の種類 塗装適性(付着性) 用途
グレード メラミン アクリル
鉄鋼板 1 リン酸鉄系化成皮膜処理       リン酸亜鉛系化成皮膜処理 一般金属製品、鋼製家具、自動車
電気設備、産業機械、事務機器
電気亜鉛めっき 3 リン酸亜鉛系化成皮膜処理 家電製品、金属内装材、電気設備
鋼製家具
ボンデ鋼板                   (電気亜鉛めっき+リン酸塩処理)                     3       劣 アルカリ脱脂処理 家電製品、金属内装材、電気設備
鋼製家具
合金化亜鉛めっき鋼板 4 リン酸亜鉛系化成皮膜処理 × 家電製品、電気設備、金属建材
自動車ボデイ
溶融亜鉛めっき鋼板 5 リン酸亜鉛系化成皮膜処理 × 道路設備、電気設備、街路灯
Zn-5%Alめっき鋼板(ガルファン) 6 クロメート系化成皮膜処理      リン酸系ノンクロメート処理 × 道路設備、電気設備、金属
55%Al-Znめっき鋼板(ガルバリウム) 8 クロメート系化成皮膜処理      リン酸系ノンクロメート処理 × 道路設備、電気設備、金属建材
Zn-6%Al-3%Mgめっき鋼板(ZAM) 8       優 クロメート系化成皮膜処理      リン酸系ノンクロメート処理 × 道路設備、電気設備、金属建材
アルミニウム 9 クロメート系化成皮膜処理      リン酸系ノンクロメート処理 × カーテンウォール、サッシ、街路灯
道路設備
ステンレス鋼板 10 クロメート系化成皮膜処理      リン酸系ノンクロメート処理 × 道路設備、電気設備、金属建材
家電製品、厨房
※塗装適性  ○ 良好  × 劣る
 

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